1886年、フランス・パリ。
ブッソ・ヴァランドン商会 パリ支店長となったテオドルス・ヴァン・ゴッホ宛てに、その手紙は届いた。
『親愛なる弟、テオへ。
この学校は最悪だ。授業はつまらないし、同級生はろくでもない連中ばかり。教師にはデッサンからやり直せと言われ、初歩のクラスに落とされた。君からの仕送りは絵の具や筆につぎ込んで、ギリギリの生活。ろくなものを食べていないから、体もボロボロだ。もうこんな町にはいたくない。僕はパリに行こうと思っている。
僕の最大の理解者―――きみがいるパリで、絵を学び直したい』
手紙の送り主は、兄 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。後に数多の名画を生み出す『炎の画家』。
2人の同居が始まり、ラッセル・ベルナール・ロートレック……気の合う仲間達とともに賑やかなパリの日々は進んでいく。新しい描き方・新しい出会い、幸せに彩られた2人の生活は、ヴィンセントの絵を明るく鮮やかに
変えていく。
しかし、徐々にすれ違っていく2人の想い・・・・・・
お互いを想い合い、支えあい、時に反撥し、そしてなお、心寄せ合う・・・・・
美術史上に燦然と輝き、時を経た今も我々の心を照らし惹きつける2人の兄弟の物語――――――